2018年04月11日

NO...4898二人作りしわが山斎は 11-6

    6
 芳乃は、まさか京三が同棲しているなんて、とても想像できなかった。
(わたしの知っている夫はいたって慎重な性格、同棲などという無謀なことをするはずがない、最後の砦は守っているはずだ。すくなくとも世間体は気にする方だから・・・)
 ここに至っても、まだこんな風に夫を信じていた。
 ところが、夕方、田舎から伯父が亡くなった知らせが入り、明日が通夜で明後日が本葬だと。急いで知らせなければならない。そう考えて会社へ電話をすると、もう帰ったと言う。
 そこで家の電話へ掛け直すと、電話に出たのは女の人であった。
 まさかーー。
「あなたは誰ですか。そこはわたしの夫のマンションですが〜。申しわけないけど、すぐに出て行ってください」
 話しているうちにだんだんと激昂してしまう。
 ところが相手はゆとりありげな返事をする。
「京三さんが承知していることですから、京三さんに聞いてください」
 ガチャン。耳が痛いほど乱暴に受話器は置かれた。
 芳乃は負け犬のように惨めな気持ちになる。

 もう電話はこりごりだと思いながらも、伯父のことだけはどうしても伝えなければならない。そう思いながら夜遅くに再度電話をすると、こんどは京三が出た。
 いきなり感情をぶつける。
「ひどいじゃないですか。どうして同棲などと、勝手なことをするのですか」
 芳乃は怒りながらも涙声になり、夫にすがる気持ちで訴える。
 ところが京三は、ここは非情に出るしかなかった。
「どうにでもとれよ。オレはお前にはもううんざりだーー」
 怒っている。芳乃は甘える気持などは吹っ飛んだ。よくぞあんなに冷たい言い方ができたものだと情けない。
 京三は京三で、帰宅すると、由紀子にねちねちといろいろ言われていた。だから芳乃からの電話に、心底怒りを持った。どうしてああも嫉妬深いのか〜。芳乃はあっさりした性格だと思っていたから、軽蔑ぐらいはするだろうが、経過を黙って見ているくらいの度量はあったはずだ……オレが甘かった。とにかく芳乃が騒ぐたびにオレは傷口を大きくした。
 少ししてから、京三から芳乃へ電話がある。
「伯父のことはオレがなんとかする。一切タッチしないでくれ」
 それだけを言って、電話は切れた。
posted by akino at 01:58| Comment(3) | カテゴリ無し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いよいよ修羅場になってきましたね。

別件ですが、又吉のヘウレーカ、今夜NHKetel10時からです。胡蝶蘭などの話のようです。放映時間がかわるんですねぇ。お知らせまで。
Posted by oss102 at 2018年04月11日 08:53
ありがとうございます。
録画予約入れました。
Posted by あきの at 2018年04月11日 12:06
ossさん
電話ありがとうございました。
今開けてみたら「横浜ガーデンネックレス2018」のこと書いたのに、入ってないので。このカッコ内で検索かけてください。
Posted by あきの at 2018年04月11日 19:08
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